2025年度10月 月例会レポート

2025年10月17日(金)、広島イノベーションベース(HIB)は、広島県福山市の iti SETOUCH(イチセトウチ)tovio にて「第23回 10月月例会」を開催しました。
今回のテーマは、【完全オフレコ】市場を創るためのマーケティング戦略とは?。
「競合が多い」「価格でしか差別化できない」──そんな悩みを抱える起業家が多いなか、“市場を自ら創り出す”という視点から、登壇者たちが実践的なマーケティング戦略をお話しいただきました。
第一部|野田泰平氏によるマーケティング講義
最初のセッションでは、株式会社ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン 代表取締役CEOの野田泰平氏が登壇。自社ブランドを通して実践してきたマーケティングの本質について、20分間の講義を行なっていただきました。
野田氏が語ったのは、「希少性(Scarcity)」と「想起(Category Entry Point)」という2つの視点。「マーケティングとは、モノを売ることではなく、“顧客と商品の距離を最短化すること”」と語り、商品そのものよりも“思い出してもらう瞬間”をどうデザインするかが重要だと話してくださいました。
印象的だったのは、「石鹸をお風呂ではなく“野菜を選ぶ瞬間”に想起させる」という発想。同社では、ナチュラルな石鹸の広告をオーガニック野菜の宅配ボックスに同梱し、同じ価値観を持つ顧客との接点を生み出しました。「競合がいない場所で出会うことこそが、ブランドの希少性を生む」というメッセージに、会場では大きく頷く姿が見られました。

第二部|パネルディスカッション|【完全オフレコ】市場を創るためのマーケティング戦略とは?
顧客のニーズは日々変化し、競合も次々に現れる──。単なる商品やサービスの提供だけでは、もはや十分ではありません。これからの起業家に求められるのは、市場を自ら「創る力」です。
では、どのようにして市場を創り出すのか?どの顧客に、どの価値を届けるのか?そして、その価値を広める戦略とは?今回の月例会では、実際に市場を切り拓いた起業家たちが、自らの経験と戦略を惜しみなくお話しいただきました。
【登壇者】
■ 濱田 創 氏|株式会社なかよしライブラリー 代表取締役
■ 野田 泰平 氏|株式会社ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン 代表取締役CEO
【モデレーター】
■ 児玉 昇司 氏|エス株式会社 代表取締役

濱田氏は、自社の木製おもちゃづくりにおける「価格から価値を設計する」というアプローチを紹介。一般的な市場価格にとらわれず、まず理想とするブランドの姿を描き、その世界観にふさわしい素材や体験の設計から始めたというエピソードに、会場からは驚きと共感の声が上がりました。
さらに、香川県の旧小学校を購入し、子どもたちの木育体験を提供している取り組みも紹介。「ブランドは“景色をまとう”もの」という言葉の通り、背景やストーリーを商品の一部として体現する姿勢に、多くの参加者が深く頷いていました。
続いて語られたのは、「顧客との出会い方そのものを設計すること」の重要性。デジタル広告に頼らず、顧客の「日常の習慣」の中にブランドを自然に溶け込ませるマーケティングの在り方が提案されました。
登壇者同士のやり取りの中では、広告費をかけるよりも「想起をデザインする」ことの大切さが繰り返し語られ、リアルな事例とともにその実践方法が共有されました。三者三様の視点から語られる市場を創るための戦略は、どの一言も実践のヒントに満ちており、会場ではうなずきながらメモを取る姿や、「なるほど…」とつぶやく声があちこちから聞こえるなど、熱気に包まれた時間となりました。

懇親会・TAV(Take Away Value)
月例会後はそのまま同会場で懇親会を開催。登壇者への質問や、自社のマーケティング課題についての相談など、あちこちで熱い対話が交わされました。
TAV(Take Away Value)シェアでは、参加者から次のような声が寄せられました。
- 「“希少性×便宜性”という考え方が、自社の価値づくりのヒントになった」
- 「比較されないポジションをどう築くか、見直すきっかけになった」
- 「マーケティングが“数字の戦い”ではなく、“想起のデザイン”だと気づけた」
一人ひとりが自社のプロダクトやサービスを改めて見つめ直し、市場を創るというテーマを自分ごととして再定義する時間となりました。
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